【お知らせ】第三回古典セミナーの終了報告

第3回古典セミナーの終了報告

掌友会では昨年よりWebを中心とした講演会やセミナーを企画・開催してきました。その一環として「古典セミナー3回シリーズ」と題し、講師に宮川浩也先生(日本内経医学会元会長、日本伝統鍼灸学会元副会長)をお迎えし、第1回は古典を学ぶ意義や内経学の基礎知識について、第2回は『内経』はどのように「ツボ」を探していたのかをテーマにご講演頂きました。

そして、今回は3回シリーズの最終セミナーとして2月27日にZoomによるライブ配信にて開催いたしました。最終回のテーマは
 「どおりで紛らわしい!2000年の迷妄を明らかにする!」
 『内経』の3つの流派(五蔵派・経脈派・九鍼派)を明らかにする!
と題し、約2時間に渡ってご講演頂きました。

講義では三大流派の特徴や診断法・治療法について宮川先生ならではの素晴らしい解説を加えながら、思想的背景や代表的論篇、現在の鍼灸臨床に当てはめた場合の治療スタイル、その適応疾患や治療に用いる道具、必要な鍼灸師の能力などについてご説明下さいました。

特に印象深かったのは「必要な鍼灸師の能力」に関する説明で、【五蔵派】が「コツコツ積み上げられる(知識と技術)、類推能力(工夫力)」であるのに対し、【経脈派】が「自分自身が健康であることと、触診力及び反応に合わせた処理能力、そして脈診力(陰陽の失調を見つける能力、調整する能力)」が必要になるとの事でした。また【九鍼派】では「神の力(研ぎ澄まされた精神・集中した意識、神を裏付けする晴れた心)、そして病邪を洞察する力と九鍼力(知識・運用)」であると解説されておりました。

まとめの部分でも三大治療の特徴をよく知り、その上で三大治療の「垣根を越える」ことが必要であり、そこに「分け隔てが無い」という思想を持つ道家思想が重い意味をもってくるとおっしゃっておりました。臨床能力向上に日々努力している我々にとって、大変重要で示唆に富む先生のお話を直接拝聴することが出来ましたこと、改めて感謝申し上げます。

当会ではこれからも皆様のお役立てできる様々な企画を予定しております。学園で学び結ばれた同志が、お互いの発展と幅広い交友を保てるよう、皆様とともに協力しながら進んで参ります。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

2022年3月吉日
掌友会事務局 菅原之人

 

セミナーの様子


 

 

 

参加者の声

※掌友会事務局に届いたアンケートのご回答の中から一部をご紹介しています

参加者A

茨城県
臨床経験が豊富かつ古典研究をしている宮川先生ならではのテーマ・内容であったと感じます。他の先生とは一風変わったオリジナルな解釈などが楽しめました。ありがとうございます。ずっと勉強をつづけていきたいと思います。引き続きセミナーを楽しみにしております。どうぞよろしくお願い致します。


参加者B

神奈川県
頭の中が整理でき、治療の効果も高まると思う。良く理解し易く、内容のバランスも適当であった。今後も治療に繋がる事を学んでいきたい。ありがとうございました。^_^


参加者A

東京都
中医、経脈、九鍼を知っていてもいざ自分で説明するとなると怪しく、今回とても分かりやすく区分していただきました。自分の立ち位置を見直すよい機会にもなりました。ありがとうございます。移動時間やスケジュールの面からもWebセミナーは参加がしやすくありがたいです。


参加者B

東京都
宮川先生のお話はとにかく分かりやすく、勉強不足知識不足の自分にもすんなり内容が入ってくるのでとにかく聞きやすく、分類もスッキリ分かれているので理解しやすいです。今回の内容は特に日頃頭の中でごちゃごちゃになっている部分で凄い腑に落ちました。色んな問題が解決してしまった気分になりました。そして自分がどの派で考えて治療してるかが明確に当てはまっていたので驚きました。凄い良い内容のセミナーであるにもかかわらず、卒業生も色々忙しいと思うのですが参加者が少ないことが残念です。


参加者B

東京都
下記の内容とも重なるが、特に資料が分かりやすく丁寧で、保存版である。日頃やっている臨床が、整理できた感じでとてもよかった。黄帝内経という大きな内容を、3つの流派に分けて、分かりやすく丁寧に説明されている。進み具合も、時間内におさめられていて、よかった。コロナ禍ということもあり、安全面からもWebを利用したい。


参加者A

東京都
宮川先生が黄帝内経に書かれている流派について体系的に纏めてくださったおかげで、今頃になってそれぞれの流派の全体像が何となく理解出来たように思います。勿論まだこれから読み進めて理解を深める必要がありますが、恥ずかしながらこれまでこのような捉え方は全く出来ていませんでした。その上で今後自分がどのようなスタイルでやっていくのが良いのか、またそれぞれの流派の特徴や注意すべき点を理解した上での施術であるのか、性格的にふさわしいのかなど、省みる点が多々あると気づくことが出来ました。普段自分が持っていない視点の講義が聴けるので、有り難いです。


参加者A

東京都
アーカイブで過去の研修が見られたので、途中参加でも理解が深まりました。 宮川先生のご経験が加味された古典の読み解きを、とても興味深く拝聴致しました。今回の三代流派の思想的背景の違いから、治療時に必要な能力も読み解き方も変えなければ効果がないと言うお話がとても印象に残っております。微力ながら今後の治療に活かしていきたいです。ありがとうございました。


参加者A

兵庫県
大変わかりやすく、知りたかった事が明確になり、知らなかった事や、新しい視点を見出して頂きました。今までの、鍼灸全体のカオスの理由がわかり、古典のなかでは、逆にそれらを超越した、偉大なる偉人達の叡智の集積を感じる事が出来ました。晴れ渡った、智慧と心と魂で、後世のものに引き継いでくれたんだと感動しました。また、先生もその流れの中にいらして、私たちにお伝えくださったのだと、感謝致します。やはり、それぞれの分野の得意不得意を知り、その上で、全体的によい部分を取り入れて行くこと。また、病気は本人しか治せないという見解から、病気の治療や職人的な治療に専念するのでなく、人間の治療というか、養生や予防、生き方に関わり、病気にならない根本的なサポートが、必要だと感じました。古典にはそれが充実しています。それに気づけて嬉しいです。ありがとうございました。勉強になります。刺激と新しい見地を頂けて、良かったです。


参加者A

熊本県
様々な流派や考え方を俯瞰的に捉えることで、自分のポジショニングが明確になり、すっきりしました。地方のため、参加しやすいです。


参加者B

静岡県
大変勉強になりました。曖昧だった知識が明確になりました。県外に出づらい状況なので、Webの勉強会を企画して頂いて大変助かりました。ありがとうございました。